以前に東京大学についてまとめたので、東京大学についてよく知らないという方は下の記事をご参照ください。
最近、メディアに東大生が露出する機会が増えたように思います。
テレビで東大生を見ていると、名札に書いている理1や文2といった単語が気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
東京大学は大多数の大学と違って、入学時には学部が決まっていません。その代わり理1,理2,理3,文1,文2,文3の6科類に分かれています。
おそらく、ここまで読まれた方の大多数が、
理1,理2,理3,文1,文2,文3ってどう違うの?
と思われたかと思います。
実際に東大関係者でないと、理1,理2,理3,文1,文2,文3の違いについて正確に理解するのは難しいと思います。
そこで今回は、卒業生の私が理1,理2,理3,文1,文2,文3の違いについて分かりやすく解説します。
今回の記事を読めば、6科類の違いをイメージできると思います。
なお、今回の記事は東大公式HPを参照して作成しております。最新の注意を払って作成していますが、東大を受験される方は必ずご自身で公式HPを確認するようにして下さい。
目次
1. 東大にある6つの科類
東京大学を受験する生徒は、6つの科類の中から一つを選んで受験します。
その6つとは、
- 理科1類
- 理科2類
- 理科3類
- 文科1類
- 文科2類
- 文科3類
です。
この6つの科類はそれぞれ
- 理1
- 理2
- 理3
- 文1
- 文2
- 文3
と呼ばれています。
東大に入学すると最初の2年間は教養学部(前期課程)に所属し、進学振り分け制度によってどの学部に進学するかが決定されます。その学部選択時に、どの科類で入学したがが影響してくるのです。
2. 理1,理2,理3,文1,文2,文3の違い
1. 定員数
科類毎に定員数が大きく異なります。最も定員数が多いのは理1で、逆に最も少ないのは理3です。
東大の公式HPによると2021年の前期試験合格者数は、
- 理1:1,122名
- 理2:546名
- 理3:98名
- 文1:403名
- 文2:355名
- 文3:469名
です。
2. 試験科目
理系と文系で2次試験の科目と配点が異なります。
理系は英語、数学、国語、理科(2科目)なのに対し、文系は英語、数学、国語、社会(2科目)です。また、理系と文系で配点も異なります。
理系は大学入学共通テスト(110点に圧縮)に加えて、英語120点、数学120点、国語80点、理科120点にの計550点であるのに対し、文系はセンター試験(110点に圧縮)に加えて英語120点、数学80点、国語120点、社会120点の計550点です。
理1,理2,理3、文1,文2,文3の間で試験問題の違いはありませんが、採点基準が違うのではないかという話もあります。
3. 大学入学共通テストの足切り
大学入学共通テストで一定以上の点数を取れないと、東京大学を受けることができません。これを足切りと言います。
足切りの点数は軽いによって異なり、これは2次試験の難易度に比例しません。2021年度の足切り点は、
- 理1:699点
- 理2:629点
- 理3:534点
- 文1:562点
- 文2:203点(選抜なし)
- 文3:600点
だったようです。
4. 2次試験を含めた合格最低点
理系文系でそれぞれ入試問題は同じですが、合格最低点は科類毎に大きく異なります。
一般的に理系の難易度は理3>>>理1>=理2とされております。2021年度の合格最低点は、
- 理1:333.2667点
- 理2:314.2333点
- 理3:375.7111点
だったようです。
私が受験した頃、難易度は文1>文2>文3一とされておりますが、最近はその差がほとんどなくなってきているようです。2021年度の合格最低点は、
- 文1:334.7778点
- 文2:337.9222点
- 文3:336.6222点
であり、文1が最も低いという結果でした。私の感覚からすると、かなり驚きの結果でした。
5. 男女比
全体的に文系の方が女性比率が高い傾向にあります。
科類毎の男女比は年によってばらつきがありますが、文系に関しては、文1が20~25%程度、文2が15~20%程度、文3が35~40%程度です。
理系に関しては、理1が5~10%程度、理2が20~25%程度、理3が15~20%程度です。ご覧になってわかる通り、理1の女性比率は極端に低い傾向があります。
6. 授業
授業に関しては、理系文系毎に必須科目が異なります。科類間にも若干の違いはありますが、授業科目で進学科類を決めるほどではないです。
理系に関しては、実験科目の種類が違ったり、理3生だけ受ける授業もあったりします。
選択科目に関しては完全に自由なので、基本的にどの学部の生徒も自分の興味に合わせて自由に選択することができます。
7. 各学部への進学しやすさ
ここが最も重要です。科類毎に最も大きく違うのが、進学先の学部の定員枠です。
進学振り分け制度によって学部を選択する際、科類毎に定員が異なります。つまり、科類によって各学部への行きやすが異なるのです。
例えば、理3はほとんどの生徒(私の代は100人中97人)が医学部進学できるだけの枠をもっています。そのため、大学入学後の1.5年間に良い成績を取らなくても医学部に進学できるのです。
一方で、理3以外の学部から医学部に進学しようとする場合、定員数は13名(理2から10名、全ての科類から3名)となります。そのため、大学入学後の1.5年間に全ての教科の平均点が90点程度必要になります。
東大生の中で、90点以上の点数をとり続けるのは決して不可能ではありませんが、簡単ではありません。
各科類からそれぞれの学部に行くのに何点必要かについてはケースバイケースですし、同じ学部の中でも学科毎に違います。そのため一概には言えませんが、一般的には
「各科類のメインルート以外で、かつ人気のある学科を選ぼうとすると、難易度が高い」
傾向にあります。
メインルートとは大多数の生徒が進む進路のことで、
- 理1:工学部、理学部
- 理2:薬学部、農学部、理学部
- 理3:医学部
- 文1:法学部
- 文2:経済学部
- 文3:文学部、教育学部
といったイメージで良いかと思います。
つまり、自分の行きたい学部から逆算して受験する科類を決めるのが王道と言えます。
各科類から進学しやすい学部に関してはこのような傾向がありますが、当然例外もあります。東大を受験される方は、科類を決める前に行きたい学部の進振り最低点を必ず確認するようにしましょう。
今回は東大の6つの科類についてざっくり説明しました。参考になったでしょうか?
今回の記事を読んでくださった方は、理1,理2,理3,文1,文2,文3の違いがなんとなくイメージできたのではないかと思います。
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