非医療者向け記事

医師として働きながら研究するメリットについて

研究

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天秤
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研究
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医師として働きながら研究するのは時間的な制約があったり、研究者としてのトレーニング開始のタイミングが遅れるといったデメリットもありますが、メリットもあります。

今回は医師として働きながら研究するメリットについて、少し深掘りをしてみようと思います。

医師や研究者を目指したいという方の参考になれば幸いです。

1. 医者の仕事もすることで、経済的に安定した状態で研究できる

お金

最大のメリットは経済面だと思います。

医者としてはたらく場合、目の前の患者さんに悩みを解決してあげることができます。そのため、その対価として労働収入を得ることができます。

一方で、研究活動は医学の発展のために非常に重要なのですが、今すぐ目の前の患者さんの悩みを解決することはできません。そのため、研究者として働く場合、自分で研究費・奨学金を獲得するか、もしくは研究機関に雇用してもらって給料をもらう必要があります。

研究費や奨学金を獲得したりポジションを手に入れるには、非常に熾烈な競争に勝ち抜かなければなりません。仮に競走に勝ち抜いたとしても、収入は医師と比べると少ないのが現状です。

例えば、大学院生を例にとってみましょう。

一般的な大学院生の場合、学生なのでバイトの収入で生活することになります。優秀な学生の場合、日本学術振興会の特別研究員に認定していただくことができます。「学振DC」と呼ばれるものです。

https://www.jsps.go.jp/j-pd/data/boshu/poster_pddc.pdf

学振を取ることができると、月20万円を支給してもらえます(返済不要です)。学振の対象者は研究に専念するため、原則バイトが禁止されます。そのため税金や家賃、生活費を払った残りで生活することになります。

学振の採択率は2割弱なので、残りの大半の学生は自分で他の奨学金を獲得しない限り、バイトをしたり貯金を切り崩したり、両親から仕送りをもらったりしながら生活することになるのです。

一方で医師免許がある場合、医師としての仕事をしながら研究を行うことができます。

医師としての仕事の給料相場は地域や仕事内容によってまちまちですが、時給1万-1.5万円をイメージして頂ければ良いと思います。仮に週2回、時給1万円で9-17時の仕事をすれば、単純計算で少なくとも60万円/月程度の収入を得ることができます。

ただし、

  • 大学病院での業務もあり、実際にはこれほど給料をもらえていない先生も少なくない
  • 非常勤医の場合は常勤医よりも給料が多いため、週5-6日働く常勤医が、この2.5-3倍以上のお金をもらっているとは限らない

ことを追記しておきます。

ですが、非医学部の研究者の方々と比べると、経済的に恵まれていることは確かです。安定した生活基盤を作った上で研究をできるというのは本当に大きいメリットだと思います。

2. 医学というバックグラウンドを持って研究できる

医学というバックグラウンドを持って研究できるというのも、医師をしながら研究するメリットの1つだと思います。

医学部に入学すると、6年間で医学に関する勉強・実習を一通り経験します。そのため、生化学や薬理学、解剖学、病理学などの基礎医学分野の土台の上に、様々な診療科の疾患に関する知識を持っています。

さらに、医師として働いている中で、実際に患者さんを診断し治療することができます。その過程で生じた疑問点に対して研究をすることができるというのは、医師ならではだと思います。

実際に臨床研究やリアルワールドデータを用いた研究は医師が中心となって行っていますし、医学のバックグラウンドを持った研究者の需要は今後も間違いなくあると思います。

3. 臨床検体や臨床情報にアクセスしやすい

研究

臨床情報へのアクセスのしやすさというのも、大きなメリットの一つです。

例えば癌の研究をする場合、実際の患者さんから採取した組織や臨床情報は非常に貴重なサンプルです。

特に手の込んだ研究だと、様々なタイミングで組織を採取したり、経時的な臨床データを採取して解析することもあります。その際に、自分で研究計画を立てて、患者さんから同意を取った上でサンプルを入手することができるというのは、医師の強みだと思います。

実際に私も臨床サンプルを用いた研究をしていますが、非医学部の先生とは違う視点で研究できています。医師としての経験や立場を生かして研究することは、研究者として差別化する上で非常に大切だと思います。

4. 出口をイメージしやすい

出口

研究を行う上で、最終的にどのように社会実装するかをイメージすることは非常に大切です。というのも、国から研究費を頂く上で、最終的にどのような形で人類の役に立つかというのは大切な観点だからです。

出口の例として、

  • 新規治療薬の開発
  • 患者さんの層別化(薬が効く患者さんと効かない患者さんを分ける)
  • 病気の発症や再発を早期に発見するマーカ開発
  • 病気の予防法の確立

などがありますが、いずれも臨床現場での知識が重要になってきます。そのため、臨床現場での経験のある医師が研究に携わっているというのは重要だと思います。

今回は、医者をやりながら研究するメリットについて解説しました。いかがでしたでしょうか。

医師として働きながら研究するのは時間的な制約があったり、研究者としてのトレーニング開始のタイミングが遅れるといったデメリットもありますが、メリットもたくさんあります。特にやり方によっては経済的に安定した状況で研究に打ち込むことができるというのは大きなメリットだと思います。

将来、研究者を考えている方や、その親御さんの参考になれば幸いです。

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そら
医師・研究者 | 妻(@yukizorablog_Y)と医師夫婦ブログを書いてます | 医療や教育に関する記事を残していこうと思っています。
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