生理にお悩みの方へ

もっと知りたい!低用量ピル”Q&A”

こんにちは、ゆきです。産婦人科医として働いています。

先日、低用量ピル(OC・LEP)についての記事を書きました。低用量ピルの基本的な内容については、下記の記事を参考にして下さい。

低用量ピル(OC・LEP)を身近に感じようピル(OC・LEP)に配合されている2種類のホルモンの知識を皮切りに、ピルのメリット・デメリット、副作用、禁忌についてを、産婦人科医の筆者が徹底解説。商品毎の特徴も触れながら、基礎から応用まで詳しく説明します。...

今回の記事では、ピルに対する色々な疑問にお答えしていく形で、ピルの知識を深めていければと思います。

OC・LEPという単語は何度も出てくるので、ここでおさらいしておきましょう。OCは避妊を、LEPは月経困難症や子宮内膜症など疾患の治療を目的として用います。

OC:低用量ピル=避妊目的(自費)
LEP:低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬=婦人科疾患の治療目的(保険)

1. 妊娠とピル

1. 避妊効果

ピルを内服している間は妊娠しないって本当?

しっかりと飲み忘れなく内服すれば、避妊手術や子宮内避妊具と同じくらいの避妊効果があります。

ピルは毎日決まった時間に内服することが指示されています。しっかり決められた通りに内服することで、高い避妊効果を有します。コンドームなどと比較してもその効果は高く、女性の避妊手術(卵管結紮術)や子宮内避妊具に匹敵します。

一方、飲み忘れたりするとその避妊効果は下がってしまい、十分な効果が得られなくなってしまうので注意が必要です。

2. ピル内服時の性交渉

ピルを内服している間は妊娠しないってことは、コンドームも使わなくて良いってこと?

避妊はできますが、ピルで性感染症は予防できません。

ピルには高い避妊効果がありますが、性感染症やHIV感染を予防するものではありません。最近ではむしろ性感染症のハイリスクの女性において、ピル内服によるクラミジア頚管炎のリスク上昇が示されたりしています。

自分の身を守るためにも、妊娠を希望していない時はコンドームも合わせて使用することをお勧めします。

3. ピルの長期内服と妊孕性との関連

ピルを長期に内服すると妊娠しづらくなったりするの?

そのようなことはありません。

ピルを内服しても妊孕性(妊娠する能力)に影響はないと考えられています。ヨーロッパで59510人を対象として行われた研究では、ピルを中止して最初の1周期目で21.1%、3周期目で45.7%、1年後で79.4%、2年後で88.3%で妊娠が認められています。

ピルに含まれているプロゲステロンの種類の違いによる影響もありません。

[Cronin, M. et al.: Obstet Gynecol 2009; 114(3): 616-22]
縦軸:妊娠率、横軸:中止後の周期数

2. 月経症状とピル

1. 過多月経・月経困難症

ピルを飲めば生理痛はなくなるの?生理の量は減るの?

生理痛は軽減しますし、生理の量も少なくなります。

<ピルがもたらす作用>

  1. 子宮の内膜が厚くなるのを抑制する
  2. 子宮の内膜から炎症物質が産生されることを抑制する
  3. 排卵を抑制する

子宮の内膜が剥がれることによって起きる出血が「月経」なので、子宮の内膜が薄くなればその分生理の量が減ります。

また、月経時に生じる腹痛・腰痛・吐き気・気分不快などの様々なトラブル(=月経困難症)にも効果があります。月経困難症に対しては、保険適応のあるLEPの処方を優先します。

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2. 月経前症状

生理の前にイライラしてすごく辛い。こんな症状にも効果はあるの?

第4世代プロゲスチン(ドロスピレノン)を含んだLEPが有効です。

月経前症候群(PMS)とは、生理の前に精神的・身体的な不調が生じ、それが生理と共に消失するものを言います。月経前不快気分障害(PMDD)はその重症型で、うつ病の一亜型と考えられています。

これらの症状には、ドロスピレノンを含有したLEP(ヤーズ®︎)の内服が有効であると考えられています。月経前症状が強い人に対しては、ヤーズ®︎を選択する方が望ましいでしょう。

3. 子宮内膜症

子宮内膜症と診断されて、ピルの内服を勧められたけど抵抗がある。やっぱり内服した方が良い?

子宮内膜症に対しては「症状改善」「病巣縮小」「術後の再発予防」など様々なメリットがあります。処方を勧められたのであれば、ぜひ内服を。

40歳未満の子宮内膜症であれば、薬物療法としてはピルが第1選択になる場面が多いかと思います。というのも、ピルの内服によって、子宮内膜症によって生じる月経困難症などの症状が改善する他、卵巣子宮内膜症性嚢胞(卵巣チョコレート嚢胞)の病巣を小さくする効果もあるからです。

上のイラストは卵巣チョコレート嚢胞を示しています。
卵巣の中に出血が溜まる疾患ですが、ピルを内服すると排卵が抑制されるので、卵巣嚢胞の中に新たな出血が生じるのを防ぐことが出来るのです。

子宮内膜症の術後の再発予防にもOC・LEPが有効であることがわかっています。

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3. ピルについて、ここも気になる!

1. ピルの服用年齢

ピルって何歳から飲めるの?

初経が来たら内服できます。

ピルは基本的に初経から閉経まで内服できる薬剤です。

しかし「骨成長や骨密度に関与する可能性」が示唆されているため、骨成長が終了していない可能性がある患者に対する処方は望ましくないと考えられています。海外の臨床試験でも、14歳未満の安全性は担保されていません。

2. 連続投与と周期投与

連続投与と周期投与って、実際どっちが良いの?

基本的には患者さんの希望に合わせますが、産婦人科医としては、断然”連続投与”がおすすめです。

そもそも月経が毎月こないといけない理由ってないんですよね。むしろ、昔と比べて月経回数がかなり増えていることが問題になっているくらいです。

そのため近年は、ヤーズフレックス®︎やジェミーナ®︎など、連続投与が可能なピルが増えています。連続投与の大きなメリットは、月経回数が少なくなる分、生理前後の体調不良を減らすことが出来るということ。さらに内膜症の治療という点においても、連続投与の方が優れていることが分かっています。

  • 毎月生理がこないなんて身体にとって害じゃない?
  • ピルをそんなに飲んで、血栓症とかの副作用は大丈夫なの?

そんな心配もご無用です。いずれも問題はありません。

4. ピルを実際に服用する時のQ&A

学生

1. 服用開始時期

ピルっていつから飲み始めても良いの?

月経5日目までに内服を開始しなければなりません。

ピルはホルモン剤なので、決められた時期に内服しないと十分な効果を発揮することができません。具体的には、「生理が始まってから出来るだけ早く」内服した方が良く、少なくとも生理5日目までには服用を開始しなければならないとされています。

それ以降で内服した場合は排卵が抑えられず、避妊効果が不十分になるため、追加の避妊法が必要になります。

2. 飲み忘れた時の対処法

昨日ピルを飲んでいないことに今気付いた。どうすれば良い?

飲み忘れに気付いた段階でなるべく早く服用しましょう。今日分のピルも予定通りの時間で飲んで大丈夫です。

決まった時間通りに薬を飲むのって案外大変です。
そのため、ピルを飲み忘れてしまうケースは珍しくありません。飲み忘れた場合は、焦らず次のように対応しましょう。

ピルを飲み忘れた場合の対応
  1. 1錠の服薬忘れ
    ・飲み忘れた錠剤は気付いた時点で早めに内服
    ・残りの錠剤は予定通りの時間に内服
  2. 2錠以上の服薬忘れ
    ・飲み忘れた錠剤のうち直近のものだけをなるべく早く内服
    ・残りの錠剤は予定通りの時間に内服
    ・7錠以上連続して服用するまで避妊する

3. 鎮痛薬との併用は?

ピルで生理痛は楽になったんだけど、まだ少し痛むことがある。鎮痛薬って飲んでも良いの?

基本的に問題ありません。

ロキソニン®︎など”NSAIDs”と呼ばれる鎮痛薬は、ピルと併用しても有害な相互作用はないと考えられています。しかしロキソニンそのものも血栓症のリスクになり得るので、血栓症状には注意しておく必要があります。

一方でカロナール®︎などの”アセトアミノフェン”と呼ばれる鎮痛薬は、ピルとの併用によって「アセトアミノフェンの作用が減弱し、ピルの作用が増強する可能性がある」と報告されています。

その他にピルの作用を増強・減弱する可能性があるのは、「抗てんかん薬、抗結核薬、抗うつ薬、HIV治療薬」などです。

4. 不正出血が続く時

不正出血が続く時はどうすれば良い?

長期に続き原因不明であれば、妊娠や癌などの悪性疾患の精査をします。問題なければピルの内服を継続します。

ピルの服用を開始した直後は、かなりの頻度で不正出血などのマイナートラブルが出ます。しかし、周期を重ねて反復投与を続けることによって減少・消失することがほとんどです。

数ヶ月内服しても出血が続く場合は一度診察し、何か原因がないかを調べます。問題なければピルの内服を継続してもらって構いません。

ピルにはその人によって合う合わないがあるので、ピルの種類を変えてもらうと不正出血が止まるケースもよくみられます。

5. 妊娠したかも?

ピルの休薬期間なのに出血がない。どうすれば良い?

まず妊娠検査薬で妊娠の有無を調べましょう。妊娠していたらピルの内服は即中止して下さい。

ピルの休薬期間中に出血がない場合があります。そのような時はまず妊娠していないかを確認するべきです。

妊娠が否定できればピルの内服は続けてもらって構いません。一方、妊娠が判明した場合にはピルの内服は即中止しなければなりません。

仮に妊娠に気付かず、妊娠初期にピルを服用してしまっていても、赤ちゃんに奇形が増えたという報告はほとんど知られていません。慎重に妊娠経過をフォローすれば問題ないことが多いです。

いかがだったでしょうか。
今日は前回の記事の追加という形で、様々な視点からピルについて考えてみました。

皆さんの痒いところに手が届く記事になっていれば嬉しいです。

最後に、少しでも多くの方にこのブログをご覧いただけるよう、応援クリックよろしくお願いします!

<参考文献>
OC・LEPガイドライン 2015年度版 公益社団法人 日本産科婦人科学会

ABOUT ME
ゆき
◆ 医師(産婦人科) ◆ 県立女子高校→地方国公立医学部 産婦人科医の視点から、正確でわかりやすい情報をお届けします。 twitter:@yukizorablog_Y Instagram:yukizora_yuki
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