非医療者向け記事

地方国公立医学部の生活【学業編】

勉強

こんにちは、ゆきです。
私は地方国公立医学部を卒業し、産婦人科医として働いています。
今回は、医学部のカリキュラムや勉強についてまとめてみました。

私は身近に医療系の職業についている人がおらず、医学部の生活は入学するまで未知でした。
医学部医学科はほぼ全員が医師になる特殊な科であり、受験生のうちからその実情を把握しておくことは将来の選択の上でも大切なことだと思います。

地方国公立大学医学部医学科の生活のリアルをお届けします。

1. 医学部ってどんな勉強をしているの?

① 教養を固め、運転免許を取る1年生

私の通学していた大学では、医学部専用のキャンパスがありましたが、1年生の時は全学キャンパスで他学部と一緒に授業を受ける時間がほとんどでした。英語や物理・化学・生物などの基礎教養から、興味があったり、単位を取るのが楽な科目だったりを選択して自分だけの時間割を作って生活します。

授業がない時間、いわゆる空きコマでは、積極的に教習場に通い、運転免許取得を並行する同級生が多かったです。地方大学では、マイカーを持つ学生が少なくないので(私の大学では8割程度は所有していました)、これが後の6年間の生活の質に関与してきます。ちなみに2年目以降は空きコマはほとんどありませんので、1年生の時がチャンスなのです。

② 人体解剖で医学をかじる2年生

いわゆる医学部っぽい授業が始まるのが2年目です。そのうちの1つが人体解剖学で、今後の医療の発展・教育・研究に役立たせようと、ご自身の遺体を無報酬で提供してくださった「献体」を使用して行います。解剖の本とにらめっこしながら、細い神経から筋肉・骨の隅々までを観察し、約6ヶ月をかけて人体の神秘と向き合います。

他には動物実験学・医学統計など、医師としてだけではなく、研究者として必要な知識も補います。

③ 基礎医学を学ぶ3年生

医学部と言っても、いわゆる消化器・循環器などの臨床医学をすんなり学ばせてくれるわけではありません。どんな知識も土台が必要なように、まずは基礎から叩き込まれます。免疫学・感染症学・薬理学・病理学など…。

今思うととても大切な知識なのですが、早く臨床がやりたいのにとやきもきする時期でもあります。自分で勉強した方が効率良いと、授業に来なくなってしまう生徒が3割位いました。

④ 臨床医学に触れ、CBT/OSCEに備える4年生

ついに臨床医学を学ぶことができます。消化器・循環器・外科などと言ったメジャーなものから、産婦人科・耳鼻咽喉科・精神科などのマイナーなものまで、1年間かけて全て勉強します。

4年生の冬には、CBT(医学知識試験)/OSCE(実技試験)という共用試験があります。これに合格すれば晴れてStudent doctorとなり、病院実習ができるようになります。

⑤ “いざ臨床実習!” 5年生

4〜5人のグループに分かれ、大学附属病院で各科をローテートして実習します。1つの科あたり1〜2週間という短期間ではありますが、それぞれの科の雰囲気を感じとることができるので、将来何科になりたいかをなんとなく考え始める時期でもあります。

やはり実際見て得られる情報はかけがえのないものです。患者さんの協力あってこそですが、カルテの書き方から診察の仕方まで、愚直に取り組みます。関連の市中病院に出張して実習を受けることもあります。

⑥ 国家試験勉強と研修病院探しの6年生

6年生でも病院実習を数ヶ月続けます。さらに、合間をみて来年度に自分が研修したい病院探しを行います。

大学のカリキュラムにもよりますが、10月頃からはほとんど授業がなくなるため、それぞれが国家試験に向けた自主勉強を始めます。1人ではなかなか辛い道のりなので、小さな勉強グループを作って切磋琢磨している人たちが多かったです。これは1人暮らしが多い地方医学部の特徴なのかもしれません。

朝から晩までひたすら勉強する受験生活ですが、医学部の国家試験の合格率は9割前後なので、他人を蹴落とすというよりは、友達と一緒に合格まで歩んでいく感じです。

2. 定期試験・留年について

① 定期試験

大方、それぞれの科目が終わるごとに定期試験があります。問題形式はその科目を担当してくれる先生によってかなり癖が出てきますので、過去問ベースで対策しました。特にアクティブな運動部は歴代の過去問を所有していることが多く、そんな部活に所属するか、所属している友達と仲良くなることが1番の近道だったりします。悲しきかな、こんな学生時代から情報競争が行われるわけですね。

4年生以降の臨床医学については、その試験範囲や過去問が膨大な量になってきますので、学年全員で協力して試験対策を行いました。全員に細かく役割が割り当てられるので、その範囲は懸命に勉強し、各自過去問の回答や予想問題集を作成し、立派な対策問題集を完成させていました。

② 留年について

上記のように試験対策を行うのですが、赤点をとり留年となってしまう人もいます。私の大学では6年間のうち、30人位が留年して下の学年に移動しました。

特に2〜4年生のテストは要注意です。医学部は各高校選りすぐりに成績の良かった学生が集まりますので、その中で揉まれるのは意外とシビアだったりします。

今回は地方国公立医学部のカリキュラムについてざっくりと解説しました。医学部の私生活についても記事にまとめたので、合わせてご覧いただければ幸いです。

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ゆき
◆ 医師(産婦人科) ◆ 県立女子高校→地方国公立医学部 産婦人科医の視点から、正確でわかりやすい情報をお届けします。 twitter:@yukizorablog_Y Instagram:yukizora_yuki
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