教育関連(親御さん向け)

女子校を選択するメリットとは?

こんにちは、ゆきです。
県立女子高校を卒業し、今は産婦人科医として働いています。

今回は女子校についてお話しします。私は高校のみ別学だったパターンでしたが、中高一貫校にも当てはまることが多いのではないでしょうか。
中学受験・高校受験で女子校を考えている方は、ぜひご一読ください。

1. 女子校という選択

①なぜ女子校を選ぶのか

最近は女子校が共学化されるケースが多々あり、それにより偏差値が上がり進学校化した、というお話もよく聞きます。私の通っていた高校も一時は共学化の噂が立っていましたが、在学生・卒業生たちの反発が強く、数多の署名と共に立ち消えました。

私も女子校に通っていた身として、女子校という選択肢はあっても良いと考えています。男子脳・女子脳といった言葉があるように、そもそも男女では物の見方・考え方が違います。成長曲線も違います

思春期の男女の違いは思っているより顕著であり、それぞれに合わせた教育をすることで生徒の学習効率が上がるのです。「女子校は”女子は理数科目が苦手である”という固定概念が少ない」という報告*もあり、理数系に進みたい女子にとっては特におすすめです。

* Bowe, A. G et al. (2017) Urban Elementary Single-Sex Math Classrooms: Mitigating Stereotype Threat for African American Girls. Urban Education, 52(3), 370-398.

女子校の精神・考え方に共通するもの

各女子校の教育方針では、「自主性」「社会貢献」「自律」などの言葉がよく見受けられます。校長先生が朝礼で「将来世界に羽ばたけるような”リーダー”になりなさい。そのために知性と教養・逞しさを備えなさい。」と言っていたのを思い出します。

女子校では皆、各々が自分の役割を持ち、貢献しようとする強い意志を持っています。多くの卒業生を輩出した伝統校だからこそ、脈々と受け継がれる精神があるのです。

③男子がいないからこそ得られるステータス

女子校には当たり前ですが女子しかいません。なんでも女子がやるしかありません。生徒会長や実行委員長も女子、力仕事も女子です。

・会長や委員長は男子がやるだろうから、私は副会長や書記としてサポートしようかな…
・あんまり出しゃばったら嫌われるかな…

そんな発想が無くなるので、後ろでひっそり見守っているタイプは少なくなります。女子校の女子の方が共学と比べて強い子が多いと言われるのは、そんな環境だからなのかと感じます。

学校が社会の縮図である必要はありません。そこで当たり前のようにこなした役割が、自分の引き出しとなり、社会人になった時に活きてくるなと実感しています。

「女子校=いじめが多い」は誤解です

よく聞かれますが、「女子校はいじめが多い」というのは全くの誤解です。全国の女子校生は皆、失礼しちゃうわと思っていることでしょう。少なくとも、進学校ではほとんどありません。

良くも悪くも、女子校生はサバサバしており、お互いに深く干渉しません。男子の目を気にして行動することも無いわけで、いじめの原因となるような衝突の機会は少ないです。

後述のように、女子校の中にも色々な人種がいます。そしてそれを当たり前に受け入れ、個性として尊重できる環境があります。
むしろ、キャラが立っている面白い人が人気者になりやすい。
いじめについては心配する必要はないと思います。

2. 女子校で犠牲になるもの3つ

①偏差値

女子校には、セットにされやすい男子校というものがあります(例:県立A高校⇄県立A女子高校)が、男子校と比較してしまうと、女子校は概ね偏差値が低い傾向にあります。すなわち、相対的に下位層も増えます。

別視点として、2019年の東大合格率を見ても、男子校は1〜4・6・7・9位を占め、女子校は5位の桜蔭高等学校のみと、男子校の進学実績の強さが目に見えます。

ただ、所詮は受験界の数字です。偏差値に縛られるのは受験の時だけ。学校の偏差値が高いからと言って、自らの偏差値が高くなるわけではありません。自己研鑽でなんとでもなると思っています。

②恋愛偏差値

男子校も同じだと思いますが、別学に入学すると異性との接し方が下手になります。私自身、高校3年間で男子との接点はほとんどなく、「少年」がいつの間にか「大人の男性」になっていたことに驚愕しました。

共学の子とは恋愛観も異なり、女子校生の方が理想・幻想を追いかける傾向があります。経験不足も相まって、「恋って何?」という根本から悩む子もいます。

中高生に恋愛が必要か、についてはそれぞれの意見があるでしょう。ただ、学問に集中するために学内恋愛を制限することはアリかなと感じます。女子学生って意外とピュアですから、恋愛に一途になってしまうことも多く、それが学業の障壁となってしまうことも否定できません。

もちろん学外に彼氏がいる人もいましたし、同性カップルもいました。
先生に憧れを抱いている人もいました。本当に人それぞれです。

③『女性らしさ』

定義が難しいので、あえて『』をつけました。
共学女子と比べ、女子校生はガサツな人が多いと言われます。男子の目がないため、思春期に『女性らしさ』について意識することが少ないためだと考えられています。

女子校生は自立心が強く、男性の一歩後ろをついていくタイプは少数派です。これを『女性らしさ』とするなら、そういった能力は低いのかもしれません。ただ、女子校生はそれを卑屈に思うこともありません。私は私、あなたはあなたで、個人主義が多い印象です。

3. ”女子校あるある”からみた女子校の実態

一時、女子校あるあるがブームになりました。多数の投稿にクスッとしながら、「ああ、世の女子校生って似たもの同士なのだなあ」と笑った記憶があります。
最後は、”女子校あるある”を踏まえて女子校の実態に迫っていきたいと思います。

①女子校にいる4人種:お母さん、おっさん、アイドル、オタク

女子校生は大方以下の人種に分類できます。

世話好きのお母さん(例:いとうあさこさん)
面白いおっさん(例:ハリセンボンの近藤春菜さん)
ただただ可愛いみんなのアイドル(例:橋本環奈さん)
王子様系男性アイドル(例:天海祐希さん)
何かにとことん取り組むオタク

ハイブリットな人も多く、皆ちょっとずつ変です(褒め言葉です)。
各々独自の世界観を持っていましたが、それぞれの立場に上下はなく、尊重し合う文化が浸透しており、心地よい空間でした。

②女子校出身者に親近感

上記で例に挙げた芸能人の方々は皆さん女子校の卒業生です。
女子校出身者の方なら、「あ〜確かに女子校っぽい」って思ったのではないでしょうか。
個人的には、”優しい・可愛い・かっこいい・面白い”だけじゃなく+αがある人というイメージです。
女子校出身というだけで勝手に親近感が湧くのも、女子校出身ならではの感覚のようです。

③やっぱり女子校でよかった

長々と書いてきましたが、“やっぱり女子校でよかった”。これに尽きます。私を含め、多くの友人が女子校であったことに誇りを持ち、良い経験だったと考えています。確かにデメリットもあるのですが、女子だけの社会という異空間に身を置ける貴重な機会です。

共学志向が増えている昨今ですが、女子校という選択は十分に魅力です。

今回は女子校について考えてみました。私の独断と偏見があったかもしれませんが、ご了承ください。
「私の通っていたところは〇〇だった!」「ここは一緒だけど、ここは違うな〜」など、ぜひ様々な意見をお聞かせ頂ければ幸甚です。
これからもゆきぞらブログをよろしくお願いします。

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ゆき
◆ 医師(産婦人科) ◆ 県立女子高校→地方国公立医学部 産婦人科医の視点から、正確でわかりやすい情報をお届けします。 twitter:@yukizorablog_Y Instagram:yukizora_yuki
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