以前、学会発表や論文執筆について質問を頂きました。
モチベーションが高くて素晴らしいですね。私は研修医スタートした時点でそこまで考えていなかったですし、準備もしていなかったので、素晴らしいなと思います。
私よりも研究面で素晴らしい成果を出していらっしゃる方はたくさんいらっしゃるのでぜひいろんな人の意見をきいて頂きたいですが、一人の医師の意見として読んでもらえればと思います。少しでも参考になれば幸いです。
目次
1. まずは仕事をしっかりこなして信頼関係を築くことが大切
学会発表や論文執筆の前に、最も大切なのは、一人の医師として自分の仕事をこなしていく事だと思います。論文執筆は一人では中々難しく、特に初めてのケースでは上級医の先生にサポートして頂きながら、複数人で協力して作成していくことになると思います。
その際に、普段の仕事で抜けが多かったり、信頼関係が築けていないような先生に、論文執筆を任せたいと思うでしょうか?私が上級医であれば、普段からきちんと仕事をこなしている研修医の先生に機会をあげたいと思う気がします。
医師国家試験で必要とされる知識と、実際の臨床業務で必要とされるスキルは少し違うので、まずは仕事面で信頼してもらえるような関係性を築くよう心がけると良いと思います。
2. 医師としての基礎知識や思考力を身につけて行くことが大切
次に大切なのは、医師としての基礎知識や思考力を身につけて行くことだと思います。1つの症例報告を書くだけだったら、指導力のある上級医の先生の言われた通りに行えば、それほど難しくないと思います。ですが、質問者さんにとってそこがゴールではないと思います。
今後も継続して論文を執筆していったり、後輩を指導したりするためには、題材の選び方や論文の方向性についてある程度判断できるようにならなくてはならないです。そのためには、背景の医学知識が必要になってくるので、しっかり予習した上で臨むようにしましょう。
私の場合は基本的に1ヶ月毎にローテートしていましたが、各診療科を回る前に先輩にお勧め書籍を聞いて予習していました。診療科にもよりますが、2-3冊本は読んでから臨んでいたと思います。分からないことは、各診療科の後期研修医の先生に聞いていました。
しっかりと勉強した上でローテートしていると、学会発表や論文執筆のチャンスが回ってきたりします。実際私も、ひょんなことから論文執筆のチャンスが回ってきました。仮にチャンスがなかったとしても、しっかりと予習して臨むことで得るものも多いと思います。
3. 日々の疑問点について文献検索する習慣をつける
論文執筆するには、英語論文から情報を収集する必要があります。私も含め、多くの研修医の先生にとって、少しハードルが高いかもしれません。
そのための訓練として、英語の文献から医学情報を入手するのに慣れておいた方が良いかもしれません。題材はなんでも良いと思いますが、私は何か目的がないとモチベーションが湧かないので、日々の臨床での疑問点について、up to dateで調べたり、文献検索をしたりしていました。
また、研修医による輪読会がある診療科も少なくなかったので、その際に関連論文を含めて読み込んだりしました。ほんとになんでも良いと思いますが、ちょっとでも英語の文献から医学情報を入手する習慣を作っておくと良いかもしれません。
4. 余力があるなら、こんな本がおすすめ。
これまで書いてきた内容の方が大切ですが、もし余力があるのならば、以下の本を読んでみてください。
まず、症例報告を書いてみたいと思っている方は、この本を読んでみ流ことをお勧めします。
この本のいいところは、論文の書き方だけでなく、題材の選び方について、非常に詳しく書いてあるところです。症例報告は珍しい症例であれば良いというわけではないのが、難しいところです。論文を読んだ人にとって学びのあるよな症例を選ぶことが大切だと思います。
さらにモチベーションのある方がもしいれば、この辺りの本を読んでみると良いと思います。
研究デザインの作り方について、理解が深まると思います。
論文や学会発表を見据え、研究マインドを持って臨床研修に臨んでいただけたらと思います。より充実した臨床研修になることを祈っています。
今回は、「学会発表や論文執筆に挑戦するための準備」とについて、思うところを書いてみました。いかがでしたでしょうか。
一番大切なのは、医師としての基礎知識や思考力を身につけることだと思います。その上で、研究マインドを持って研修を行うことができれば、より充実した2年間になると思います。
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