以前にこんな質問を頂きました。
研修医になると、抄読会で医学論文を発表したり、日常診療のために論文から知見を得たりする機会があると思います。
ですが、医学論文に苦手意識のある方も少なくないと思います。
正直、私よりもたくさん論文を書いている先生はいくらでも居ますし、偉そうなことを言える立場では無いです。
ですが、それでも自分なりの信念を持って、少なからず論文は書いてきたので、質問者さんに向けて私の体験談を伝えできればと思います。同じ様な悩みを持つ方の参考になれば幸いです。
目次
1. 背景知識がないと読みづらいのは当たり前
1. 各診療科の疾患の基本的な知識が必要
研修医の先生も中には、各診療科で抄読会があるけども、中々頭に入ってこない・・・・という方がいらっしゃるかも知れません。
その先生に言いたいのは、それは英語であることだけが原因ではないのではないかということです。
研修医の先生が、各臨床科の論文を理解できないのは当たり前です。私もそうでした。論文を読むには、その疾患の基本的な概念や、これまでの研究の背景知識が必要です。それが分からない状況で読んでも、正確に理解するのは難しいです。
いろんな考え方があるかと思いますが、個人的には研修医の先生が各診療科の論文の内容を100%正確に理解する必要はないと思っています。それよりも、医学論文に慣れることだったり、医学論文のお作法を学ぶことにエネルギーを注いだ方が良いと思います。
ある程度調べても分からない箇所があれば、後期研修医の先生を捕まえて質問してみると良いと思います。後期研修医の先生にとっても勉強になると思いますよ。
2. 統計学、疫学の知識が必要
もう一点大切なのが、統計学や疫学の知識を最低限身につけておくことです。
その研究ではどの様なリサーチクエスチョンが立てられていて、それに対してどの様なデザインが組まれているのか。そしてどの様な解析を行っていて、その結果からどの様な解釈が可能なのか。
統計学や疫学の知識がない状況でこれらを完全に理解することは非常に難しいです。
医学部時代に基本的な統計学や疫学の授業があったかと思いますが、覚えている人は多くないと思います。少なくとも私は大部分を忘れてしまっていました。
統計学や疫学の知識を身につけるということに関しては論文だけ読んでいても効率が悪いので、並行して本や動画などで勉強する必要があると思います。
2. 医学英語についてはだんだん慣れてくる
私は元々英語が得意ではないですが、背景知識を身につけた上で、医学論文を読んでいくうちに、次第に抵抗感がなくなってきました。
こればかりは個人差があるのでなんとも言えませんが、私の経験上、各診療科の知識と統計学、疫学の知識があれば、あとは量をこなして行けば次第に慣れていくと思います。
医学論文の英語はわかりやすく書かれているので、一部の受験英語の様に難解ではないです。
どうしても英語に苦手意識があるという方は、DeepLという翻訳ソフトを補助的に使ってみると良いと思います。個人的にはGoogle翻訳にもはるかに精度が高いと思っています。
3. 自分で論文を執筆するのが一番良い訓練
個人的には、医学論文への抵抗を取り除く一番の方法は、自分で論文を書くことだと思います。
論文を書くには、膨大な量の関連論文を読む必要があります。適当に流し読みするのと、目的を持ってしっかり読むのでは、得られる経験値が全く違います。
私自身、初期研修医の時に論文を書くために、毎日仕事後に図書館で関連論文を読み漁っていました。元々医学論文を読むのが得意だったわけではありませんが、あれだけ読んでいると嫌でも慣れてきました。
私は必要に迫られないとなかなか手をつけられないので、私にとってぴったりな方法だったと思っています。
加えて医学論文を書くことで、どこの位置にどの様なことが書かれているかがわかる様になります。そのため、論文を読む際にもその経験が生きてくると思います。
ぜひ早い段階で、自分で論文を執筆する経験を持たれると良いのではないかと思います。
本日は医学論文への抵抗を無くすために大切な事について、思うところを書いてみました。いかがでしたでしょうか。
医学論文への抵抗を無くすのはどうしても一朝一夕にはいきませんが、焦らずコツコツとこなして行けば、かならず慣れてくると思います。
医学論文に抵抗があるという研修医の方の参考になれば幸いです。
最後に、少しでも多くの方にこのブログをご覧いただけるよう、応援クリックよろしくお願いします!