ブログを始めてから特に、進路に関して相談を受けることが増えました。
東大と医学部はどちらが良いのでしょうか?
研修病院は忙しいと忙しくない病院のどちらの方が良いのでしょうか?
進路について情報を集めること自体は非常に大切だと思います。結果的に当初の想定から大きく外れることはしばしばありますが、それでもしっかりと情報を集めた上で自分なりの考えを持ち、選択をすることは意味があると思います。
ですが、情報を集める上で注意した方が良いと感じることも多々あります。そこで今回は、進路で迷われている方に向けて私の考えを書こうと思います。
進路に迷う後輩やお子さんをお持ちの親御さんの参考になれば幸いです。
目次
1. 一人の人間の知識や経験は偏っている
人間の知識や経験は想像以上に偏っています。
例えば、私は筑駒に通っていましたが、開成や麻布には通っていないので詳しい内部状況は分からないです。
医師として働いていますが、他の業界で働いたことがないので医師の仕事の魅力を他の仕事と比べることには限界があります。
忙しい研修病院で働いていたので、ゆとりのある病院で研修するとどうなるかは、想像でしかありません。
世の中には無数の選択肢があるのですが、すべての分野に詳しい人はほとんどいないです。
医師20年目の先生と、医師2年目の先生では経験値が全く違うので、前者の先生の方が遥かに深い考察ができる可能性が高いです。
一方で、人間の持っている時間や記憶容量は有限なので、ある分野に特化すればするほど、他の分野の知識についてはカバーしにくくなります。ある分野に関して超一流の先生でも、他の領域になるとさっぱりという事例はいくらでもあります。
つまり、すべての状況においてベストな判断をできる人などいないのです。
2. 情報にはバイアスが存在する
1. 他人の意見の客観性を自分で確認していく
これまで書いた通り人間の知識や経験には大きな偏りがあります。また人間は無意識のうちに、自分が通ってきた道を肯定化する傾向があります。そのため、一人の人間の意見には大きなバイアスが存在するのです。
これ自体は仕方ないことなので、情報収集する側は、アドバイスをもらう人がどんなに優秀な人でも、一人の人の意見を鵜呑みにすることは避けた方が良いです。
アドバイスをもらう時、事実をもとに話しているのか、想像で言っているのか、しっかり見極めましょう。そして情報収集する際は複数の人からの意見を自分自身で整理し、それをもとに自分の頭で考えて判断することが大切だと思います。
私たちが入手するべきなのは、実際経験した人の意見や客観的な事実であって、判断自体を他人に依存するべきではないです。
1-2. イメージや一般論をすべて鵜呑みにしない
たまにイメージのみで話す人がいますが、これも注意するべきです。
例えば、
- 中学受験して進学校に行っても、勉強ばかりの生活で子供がかわいそう
- 東大生は勉強ばかりしていて変人が多く、人間的に魅力がない
- 東大医学部生は一度見たものは忘れない
などというイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、内部にいた私からすると、どれも間違っていると感じます。マスコミの流した情報や世間のイメージだけで話している人もいるので、必ず経験者や内部の人にリサーチするべきです。
また、大枠はあっているけれども一般論で思考停止しており、ミクロの視点で考えられていない人もいます。
確かにマクロ的に見るとそうかもしれませんが、よくよく分析して見てみると、必ずしも全てがだめという事ではないです。
人によってはむしろ向いている可能性もありますし、やりようによっては大きな成果を出すこともできます。
一人一人特性がありますし、置かれている状況も違うので、一般論のみで思考停止するのではなく、細かいところまで落とし込んで検討することが大切だと思います。
1-3. 利害関係のある人の意見は注意
情報を集めていく中で大切なのは、誰の意見なのかをきちんと把握するということです。というのも、世の中には自分の都合の良い方向に誘導してしまう人がたくさんいるからです。
例えば、
・新入生歓迎会で先輩から入部を勧められる
→後輩が増える事でその人にメリットは?
・上級医から自分の病院での研修を勧められる
→部下が増える事でその人にメリットは?
・不動産屋さんからある部屋を勧められる
→オーナーさんから広告費(キックバック)をたくさんもらっていない?
・代理店さんからある保険を勧められる
→代理店さんと保険会社さんとの間の関係性は?
・インフルエンサーさんがサプリメントを勧めている
→アフィリエイト目的では?
などです。これに関しては正直キリがないくらいあります。すべてを防ぐのは難しいですが、誰の発言か必ず確認することをお勧めします。
できることならば、内部の状況に詳しくて、かつ利害関係のない人、もともと信頼関係のある人から情報を入手するべきです。
3. 選択した後もそれに固執しすぎない
色々考えてある選択肢を選んだとしても、実際に進んでみると思ったのと違ったな・・・ということはいくらでもあります。やってみないと気づかないことはたくさんありますし、状況が変わると考えも変わると思います。
そんな時は、過去の選択に縛られず、柔軟に方向を変えてみるのも良いと思います。後から振り返ってみると回り道をしていたように感じるかもしれませんが、その過程で得た経験は想定していなかったところで役立つかもしれません。
しっかりと情報収集し分析した上で選択する、その上で選択をしコミットする、定期的に振り返ってみる。その繰り返しが大切なのかなと個人的には思っています。
今回は、進路で迷われている方に伝えたいことについて書きました。いかがだったでしょうか。
私自身、これまでの進路を選ぶ際には色々と迷いがありました。これまでの選択が最適だったのかはわかりませんが、少なくともしっかりと情報収集と分析をした上で後悔のない選択をしてきました。
自分の特性や置かれている状況を最もよく知っているのは自分自身なので、情報を入手した上で判断するのは自分自身であるべきです。
一般論がすべて自分に当てはまるとは限りません。仮に他人の意見と違っていたとしても、私はしっかりと分析した上で自分が正しいと思うのであれば進べきだと思っています。
進路に迷う後輩やお子さんをお持ちの親御さんの参考になれば幸いです。
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