お久しぶりです。産婦人科医のゆきです。
なかなかブログを書けていませんでしたが、覚えていらっしゃる方はいますでしょうか。
私事で2年くらい離れてしまっていましたが、プライベートが落ち着いてきたので、不定期で再開していこうと思います。
これからまたよろしくお願いします!
さて、再開第一弾は36週以降の妊婦さんに行われることが多い内診について。
以前詳しい記事を書いているのですが、今回は簡潔さを重視してまとめてみようと思います。
今回の記事を読んで「もっとよく知りたい!」と思って下さった方は、下記の記事も読んでいただけると嬉しいです。
目次
内診について簡単に説明して!
内診とは、産婦人科医や助産師が自身の指を妊婦さんの子宮口に当てて調べる診察のことです。
経験された妊婦さん、初めはかなりびっくりしたのではないでしょうか。
私たちが内診で何をみているのか、簡単にご説明します。
みているポイントは、次の5つです。
①どのくらい開いているか=“子宮口開大度”
0〜10cmの間を、0.5cm間隔で評価します。
子宮口が全開したというのは、子宮口が10cm開いた状態のことになります。
予定日近くの妊婦さんが最も気にされる指標なのではないでしょうか。
開いていればいるほど、それだけ子宮口が出産に向けて準備を進めているのか知ることができます。
ただ、「何センチだったらあと何日で出産になるよ」とは、はっきりわからないことが多いのが難しいところ。
子宮口が全然開いていなくても破水する方もいますし、子宮口が3cmの状態から数週間横ばいで経過する方もいます。
妊婦健診時に4cm以上開いていた場合は、状況によって「墜落産(病院到着前に出産になってしまうこと)予防」として入院を勧められることがあります。
②どのくらい薄くなってきているか=“展退度”
言葉で説明するのが一番難しいのがこの「展退度」ですが、私たち医療者は重視している指標の1つです。
同じ子宮口が3cmの人でも、子宮口がガッチリしている人と薄くペラペラになっている人とでは、どのくらいで出産になりそうなのかの判断は大きく変わってきます。
子宮口から指を入れた時に、ちくわのように指に広く圧迫感を感じる程度が30%。
0〜100%まで、10%間隔で評価します。
[病気がみえるvol.10より]
③赤ちゃんがどれだけ降りてきているか=“児頭下降度”
赤ちゃんがどのくらいの位置にいるのか、坐骨棘という評価点から何センチ離れているかを基準に評価しているのが、児頭下降度(=Station)です。
例えば「Stationが-3」と言われたときは、坐骨棘よりも赤ちゃんの頭が3cm上方にいて、まだ骨盤の中に入ってきていない状態であるということになります。
また器械分娩を行う際は、Station+3よりも下に赤ちゃんがいない場合、安全に手技を行うことができません。したがって、赤ちゃんやお母さんの緊急事態の時に、
- Station+3よりも赤ちゃんが下にいる → 器械分娩
- Station+3よりも赤ちゃんが上にいる → 緊急帝王切開
となるわけです(その他の条件因子によっては、異なった選択をとる場合もあります)。
④子宮口の柔らかさと位置はどうか=“硬度”と“位置”
最後に、「硬さ」と「子宮口の位置」です。
これは先ほどの指標とは異なり、それぞれ3段階での評価になります。
子宮口がマシュマロのように柔らかくなるほど、そして子宮口が背中側(後方)からお腹側(前方)に向いてくるほど、お産の準備が整ってきたということです。
以上の5項目を持って、私たちは子宮口について評価しており、カルテには「内診:3cm 40% -3 中 中」などと記載しています。
なんとなく、イメージが湧いてきましたでしょうか?
内診で色々なことがわかるんだね!
内診は、私たち医療者に対し、子宮口についての情報をたくさん教えてくれる手技になります。
妊婦さんにとって快適な処置ではありませんし、その痛みや不快感に慣れるものでもないのは重々承知なのですが、ご協力いただけると嬉しいです。
最後に、少しでも多くの方にこのブログをご覧いただけるよう、応援クリックよろしくお願いします!